TECHNICAL DEEP-DIVE — MCP CONNECTION

Antigravity CLI × HubSpot公式MCP Server
技術詳細ナレッジ

マーケリーダーが日常業務で活用するための、フル機能・日本語対応・公式サポートの構成パターン

対象読者マーケリーダー / マーケ責任者 / 技術リテラシーのある業務担当
用途HubSpot × Gemini MCP接続の技術リファレンス
EXECUTIVE SUMMARY / 結論先出し

Antigravity CLI(旧Gemini CLI)と HubSpot 公式MCP Server の組み合わせが、マーケリーダーが日常業務で活用するユースケースに最適です。

HubSpotが2026年2月にGA(一般提供)した公式MCP Server は、フルCRMアクセス・カスタムプロパティ対応・読み書き両方をサポートし、Google Antigravity CLI(旧Gemini CLI)から自然言語で操作できます。「HubSpot connector for Gemini」(公式ベータ)は機能制限が大きく業務利用に不向きであるため、本構成が現時点で最も柔軟かつ実用的なアプローチです。

CAPABILITY / 機能範囲
フルCRMアクセス、読み書き可能、カスタムプロパティ・カスタムオブジェクトも対応
LANGUAGE / 言語
日本語OK。プロンプトも応答も日本語で利用可能
PLAN REQUIREMENT / プラン
HubSpot Pro版のまま利用可能。Google Workspaceの特定プランも不要
USER / 想定利用者
CLIに抵抗のない技術リテラシーのある業務リーダー(マーケ・営業企画責任者等)
CRITICAL TIMING / 重要な時期的注意
2026年6月18日、Gemini CLIはAntigravity CLI(agy)に置き換わります
Google I/O 2026にて、Gemini CLIが「Antigravity CLI(agy)」にリブランド・統合されることが発表されました。2026年6月18日以降、Pro・Ultra・無料アカウントの「gemini」バイナリは停止します。本資料では、移行後の「Antigravity CLI」を前提に記述しています。なお、Antigravity CLIはHubSpot公式MCP Serverに対応済みで、設定ファイル形式が若干変更されている以外、基本的な使い方は同等です。
SECTION 01

本構成の全体像

本構成は、Google提供のAntigravity CLI(コマンドライン型AIエージェント)と、HubSpotが公式提供するMCP Server を組み合わせます。両者ともMCP(Model Context Protocol)という業界標準のプロトコルで通信します。

主要コンポーネント

コンポーネント役割提供元
Antigravity CLI(agy)自然言語の質問を受け取り、必要なツールを呼び出すGoogle(旧Gemini CLI)
HubSpot 公式MCP ServerHubSpot CRMへの読み取り・書き込みツールを提供HubSpot(2026年2月GA)
HubSpot CLIHubSpot MCP Serverのインストール・管理HubSpot(v8.2.0以上必須)
Gemini モデル自然言語処理・推論を担う(現状はGemini Flash 3.5)Google
HubSpot Private App APIキーMCP ServerがHubSpotにアクセスする認証情報HubSpot(管理者が発行)

処理の流れ

マーケリーダーが Antigravity CLI に自然言語で質問を入力。CLI内蔵のGeminiが質問を解釈し、HubSpot MCP Server に対して必要なAPI呼び出しを実行。MCP ServerはPrivate App APIキーを使ってHubSpotにアクセスし、データを取得。取得結果をGeminiが整形してマーケリーダーに応答します。すべての通信はTLS暗号化、データはGeminiの学習には使われません。

SECTION 02

必要な要件・前提条件

環境要件

項目要件
OSmacOS / Windows / Linux(Antigravity CLIマルチプラットフォーム対応)
Node.jsv20以上(npmコマンドが使えること)
HubSpot CLIv8.2.0以上(npm install -g @hubspot/cli)
Antigravity CLI2026年6月18日以降は agy バイナリ。それ以前は gemini バイナリ
GoogleアカウントAntigravity CLIの認証用(プラン制限なし、無料でも可)
HubSpotアカウントPro版以上(現契約のまま利用可能)。Super Admin権限が必要(Private App発行のため)

HubSpot Private App の権限スコープ(推奨)

最小権限の原則に基づき、用途に応じて以下のスコープを付与します。

  • crm.objects.contacts.read / コンタクトの読み取り
  • crm.objects.companies.read / 会社の読み取り
  • crm.objects.deals.read / 取引の読み取り
  • crm.schemas.contacts.read / コンタクトのプロパティスキーマ読み取り
  • crm.schemas.companies.read / 会社のプロパティスキーマ読み取り
  • crm.schemas.deals.read / 取引のプロパティスキーマ読み取り

書き込みが必要な場合は、対応する .write スコープを追加します。検証フェーズでは読み取りのみでスタートすることを推奨します。

SECTION 03

セットアップ手順

一度設定すれば、以降はターミナルで agy コマンドを実行するだけで利用できます。

HubSpot Private App の作成とAPIキー発行

HubSpotにSuper Admin権限でログイン → 設定 → 統合 → Private Apps → 「Create a private app」。前述のスコープを付与し、生成された Access Token を保管。

取得する情報
HubSpot Access Token: pat-na1-xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx
Node.js と HubSpot CLI のインストール

Node.js v20以上をインストール後、ターミナルでHubSpot CLIをグローバルインストール。

コマンド
# Node.jsバージョン確認
node --version

# HubSpot CLI インストール
npm install -g @hubspot/cli

# バージョン確認(8.2.0以上であること)
hs --version
Antigravity CLI のインストールと初回認証

公式サイトから Antigravity CLI(agy)をダウンロード・インストール。初回起動時にブラウザで Google アカウント認証を実行(約10秒)。

コマンド
# Antigravity CLI 起動(初回はブラウザ認証)
agy

# 認証後、対話モードに入る
> /help
HubSpot MCP Server の設定

Antigravity CLI の MCP 設定ファイル(~/.gemini/config/mcp_config.json)に HubSpot MCP Server を登録。HubSpot CLI 経由でMCP Serverを起動する構成。

~/.gemini/config/mcp_config.json
{
  "mcpServers": {
    "hubspot": {
      "command": "hs",
      "args": ["mcp", "start"],
      "env": {
        "HUBSPOT_ACCESS_TOKEN": "pat-na1-xxxxxxxx..."
      }
    }
  }
}
接続確認

Antigravity CLI を再起動し、MCP Serverが正常に接続されているかを確認。

コマンド
# Antigravity CLI 起動
agy

# MCP接続状態を確認
> /mcp list

# 期待される出力
hubspot - Connected (21 tools)
動作テスト(自然言語クエリ)

実際に自然言語でHubSpotデータを問い合わせて動作を確認。

プロンプト例
> 直近1ヶ月で問い合わせフォーム送信した会社を5件、業種と従業員規模を含めて教えて
セットアップ支援:本セットアップは導入支援者が伴走支援することも可能です。利用者の環境(PC種別・既存ツール)に合わせて、所要時間は約1〜2時間が目安です。
SECTION 04

できること(機能詳細)

HubSpot公式MCP Server は、CRMのほぼ全機能にアクセスできる「フルサーフェスエリア」を提供します。21のツール(操作)が利用可能です。

利用可能な操作カテゴリ

カテゴリ具体的な操作
CRMデータ取得コンタクト・会社・取引・チケット・カスタムオブジェクトの検索・取得
CRMデータ更新レコード作成・更新、プロパティ値の変更
関連付け(Associations)会社⇄コンタクト⇄取引の関連を辿る・作成・更新
プロパティ管理プロパティ定義の取得・作成・更新(カスタムプロパティ含む)
エンゲージメント通話・メール・ミーティング・ノートの記録・取得
ワークフローワークフローの一覧・詳細取得
スキーマ取得カスタムオブジェクトの構造確認

利用シナリオの具体例

シナリオ 1:SQLパス時のリッチ情報共有
プロンプト例
> 会社ID [対象ID] のコンタクトの直近のコンバージョン情報、BANT回答、メール反応をまとめて、営業担当に共有できる形式で出力して
Geminiの応答(イメージ)
◆フォームCV前後のサイト内行動サマリー:直近2週間で自社サービス関連ページを5回閲覧。最新CVは「製品紹介資料」のDL。
◆DLした資料名:製品紹介資料、導入事例集、比較ガイド
◆BANT回答内容:予算500万円、決裁者は事業部長、6ヶ月以内の導入を想定
◆メール開封・クリック履歴:直近のニュースレター開封率80%、リンククリック3件
◆該当コンタクト:(マーケティング部長:[氏名])
シナリオ 2:休眠顧客の掘り起こしリスト作成
プロンプト例
> 過去2年で取引完了した特定業界の会社で、直近6ヶ月接触のない会社を20件、最終接触日と過去の取引金額を含めてリストアップして
Geminiの応答(イメージ)
対象条件で20件抽出しました。最終接触日が古い順に並べています。「最終接触日」「業種」「過去取引金額合計」「最近の状況」が見られる表形式で出力します。掘り起こしの優先度判定として、過去取引金額が大きく、かつ業種マッチ度が高い順に上位5社をピックアップしました。
シナリオ 3:カスタムプロパティを使った詳細分析
プロンプト例
> 「AIリサーチ要求」フラグがONで、まだ「AI判定日」が入っていない会社を一覧で出して
Geminiの応答(イメージ)
条件に合致する会社を15件抽出しました。すべて Breeze によるAIリサーチ待ちの状態です。本日中に処理する場合は、HubSpotワークフロー側のキューを確認してください。
SECTION 05

セキュリティ評価

本構成は、HubSpotとGoogleが公式提供するコンポーネントを組み合わせるため、セキュリティ面での信頼性が高い構成です。

セキュリティ観点評価
認証方式HubSpot Private App(APIトークン)+ Google OAuth。両者とも標準的な業界認証方式
データの所在HubSpotデータはHubSpot内にのみ保管。MCP Server は利用者のPC上でローカル実行
Gemini学習利用Google AI 利用規約に基づき、業務利用のクエリはモデル学習に使われない
通信暗号化すべての通信はTLS 1.2以上で暗号化
権限スコープ制御Private Appで読み取り専用・特定オブジェクト限定など細かく制御可能
監査ログHubSpot側:API呼び出し履歴を全件記録。Google側:管理コンソールでログ確認可
APIキーの取り扱い環境変数で管理。Gitなどに誤コミットしない運用ルールを設定
サードパーティ経由なし。HubSpotとGoogleの直接接続のみで、第三者サービスを経由しない
セキュリティ部門への説得材料:「HubSpot公式」「Google公式」の組み合わせであり、サードパーティを経由しないこと、Private Appが組織内で発行・管理可能なAPIトークンであることが重要なポイントです。詳細は別資料「HubSpot × Gemini MCP接続 セキュリティ評価ナレッジ」を参照ください。
SECTION 06

メリット・デメリット

MERITS / メリット
  • フルCRMアクセス、読み書き両方対応
  • カスタムプロパティ・カスタムオブジェクトに対応
  • 日本語OK(プロンプトも応答も)
  • HubSpot Pro版のまま利用可能(追加プラン契約不要)
  • Google Workspaceの特定プラン要件なし
  • サードパーティを経由しない(HubSpotとGoogleのみ)
  • HubSpot公式が継続的にメンテナンスする安心感
  • Antigravity CLIに将来Gemini Pro/Ultra機能が統合される予定
  • 初期費用なし(HubSpot APIキー発行は無料)
DEMERITS / デメリット
  • CLI(ターミナル)操作が必要で技術リテラシーを要する
  • 営業全員に展開するには不向き(マーケや営業リーダー向け)
  • 初期セットアップに1〜2時間を要する(導入支援者の活用可)
  • 2026年6月18日の Antigravity CLI 移行で再設定が必要
  • Gemini API のクォータ制限がGoogle側のプランに依存
  • HubSpot側のAPI レート制限を考慮する必要がある
  • UI ベースではないため、視覚的な操作にはやや慣れが必要
SECTION 07

コスト試算

初期コスト

項目費用
HubSpot Private App APIキー発行無料(Pro版に含まれる)
Antigravity CLI / HubSpot CLI インストール無料(OSS)
導入支援者による初期セットアップ支援コンサルティング契約等で対応可能(要相談)
プロンプトテンプレート整備同上(テンプレートは個別組織のユースケースに依存)

ランニングコスト(月額)

項目費用
HubSpot 追加プランなし(Pro版のまま)
Gemini API 利用料既存のGoogle One AI Pro等の契約に含まれる(利用頻度による)
HubSpot API レート制限Pro版で十分な余裕あり(1日あたり 500,000 calls)
保守・運用定期MTGでのアドバイスは、コンサルティング契約等で対応可能
コスト面の補足:本構成は、組織が利用中のHubSpot Pro版と、既に利用されているGemini有料版(Google One AI Pro / Workspace Gemini等)の範囲内で追加コストなく開始可能です。月額固定費の追加負担はありません。
SECTION 08

段階的導入プラン

PHASED ROLLOUT / 段階的導入

マーケリーダー1名のみが利用するスコープで、3段階で定着させます。

  1. Phase 1:限定検証(1ヶ月)マーケリーダー1名のみで利用。読み取り専用Private Appトークン発行。CV前後の行動サマリーなど主要ユースケースを中心に検証。週次でアクセスログとプロンプト精度をレビュー。
  2. Phase 2:プロンプトテンプレート整備(1ヶ月)頻繁に使う操作を「ワンライナー」化。SQLパス時のリッチ情報、休眠顧客リスト、ターゲット適合度判定などのテンプレートを準備。
  3. Phase 3:継続運用・改善(3ヶ月目以降)マーケリーダーによる日常活用フェーズ。利用状況と効果を半期ごとにレビュー。必要に応じて読み書き権限の段階的拡張を検討。営業担当へのアウトプットはタスク管理ツール(Asana / Slack / Teams等)経由のダイレクトパスで完結するため、MCP接続はマーケリーダーのみで継続運用。営業全員への展開は行わず、タスク管理ツール上のアラート受信のみで業務が回る設計です。
SECTION 09

想定されるリスクと対策

リスク対策
APIキーの漏洩環境変数で管理。Gitリポジトリには含めない。漏洩疑い時は即座に無効化・再発行(数分で可能)
過剰な権限付与Phase 1は読み取り専用スコープのみ。書き込み権限は効果検証後に段階的追加
不正アクセス・誤操作HubSpot API ログを週次確認。書き込み操作は必ず「確認プロンプト」を挟む運用
Antigravity CLI 移行(6/18)移行前に Antigravity CLI で再セットアップ。設定ファイル形式の変更点は導入支援者が対応支援可能
HubSpot API レート制限Pro版で日次50万call、十分な余裕あり。万一近づいた場合はCLI側でキャッシュ活用
Gemini の回答精度(ハルシネーション)重要な判断時は「情報源を明示せよ」とプロンプトに含める。最終的には人間が確認する運用
HubSpot公式MCP Server の仕様変更GA版で安定運用中。仕様変更はHubSpot公式チェンジログで通知される。導入支援者の継続フォロー推奨
SECTION 10

導入時のチェックリスト

組織側で事前確認すべきこと

  • セキュリティ部門への提案・社内承認(別資料「セキュリティ評価ナレッジ」を活用)
  • HubSpot Super Admin 権限の確認(Private App発行に必要)
  • 利用環境の確認:PCのOS、Node.js のインストール可否
  • Gemini 有料版の利用環境(Google One AI Pro / Workspace Gemini Alpha 等)の確認

導入支援者と連携して進めること

  • Phase 1 用のプロンプトテンプレート(CV前後の行動サマリー用等)の設計
  • HubSpot Private App のスコープ設計と発行手順の文書化
  • Antigravity CLI セットアップガイド(利用者のPC環境に合わせて作成)
  • 初回セットアップの伴走支援(1〜2時間想定)
  • Phase 1 期間中の週次レビュー会の開催

導入判断のポイント

本ナレッジに基づき、Phase 1(マーケリーダー1名による限定検証)から始めることが推奨されます。セキュリティ部門への説明には「セキュリティ評価ナレッジ」を活用ください。承認後、約2週間以内に検証開始することが現実的なスケジュール感です。

Antigravity CLI × HubSpot公式MCP Server 技術詳細ナレッジ
HubSpot × Gemini MCP接続の技術構成・セットアップ手順・運用設計に関する汎用リファレンス