Antigravity CLI × HubSpot公式MCP Server
技術詳細ナレッジ
マーケリーダーが日常業務で活用するための、フル機能・日本語対応・公式サポートの構成パターン
Antigravity CLI(旧Gemini CLI)と HubSpot 公式MCP Server の組み合わせが、マーケリーダーが日常業務で活用するユースケースに最適です。
HubSpotが2026年2月にGA(一般提供)した公式MCP Server は、フルCRMアクセス・カスタムプロパティ対応・読み書き両方をサポートし、Google Antigravity CLI(旧Gemini CLI)から自然言語で操作できます。「HubSpot connector for Gemini」(公式ベータ)は機能制限が大きく業務利用に不向きであるため、本構成が現時点で最も柔軟かつ実用的なアプローチです。
本構成の全体像
本構成は、Google提供のAntigravity CLI(コマンドライン型AIエージェント)と、HubSpotが公式提供するMCP Server を組み合わせます。両者ともMCP(Model Context Protocol)という業界標準のプロトコルで通信します。
主要コンポーネント
| コンポーネント | 役割 | 提供元 |
|---|---|---|
| Antigravity CLI(agy) | 自然言語の質問を受け取り、必要なツールを呼び出す | Google(旧Gemini CLI) |
| HubSpot 公式MCP Server | HubSpot CRMへの読み取り・書き込みツールを提供 | HubSpot(2026年2月GA) |
| HubSpot CLI | HubSpot MCP Serverのインストール・管理 | HubSpot(v8.2.0以上必須) |
| Gemini モデル | 自然言語処理・推論を担う(現状はGemini Flash 3.5) | |
| HubSpot Private App APIキー | MCP ServerがHubSpotにアクセスする認証情報 | HubSpot(管理者が発行) |
処理の流れ
マーケリーダーが Antigravity CLI に自然言語で質問を入力。CLI内蔵のGeminiが質問を解釈し、HubSpot MCP Server に対して必要なAPI呼び出しを実行。MCP ServerはPrivate App APIキーを使ってHubSpotにアクセスし、データを取得。取得結果をGeminiが整形してマーケリーダーに応答します。すべての通信はTLS暗号化、データはGeminiの学習には使われません。
必要な要件・前提条件
環境要件
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| OS | macOS / Windows / Linux(Antigravity CLIマルチプラットフォーム対応) |
| Node.js | v20以上(npmコマンドが使えること) |
| HubSpot CLI | v8.2.0以上(npm install -g @hubspot/cli) |
| Antigravity CLI | 2026年6月18日以降は agy バイナリ。それ以前は gemini バイナリ |
| Googleアカウント | Antigravity CLIの認証用(プラン制限なし、無料でも可) |
| HubSpotアカウント | Pro版以上(現契約のまま利用可能)。Super Admin権限が必要(Private App発行のため) |
HubSpot Private App の権限スコープ(推奨)
最小権限の原則に基づき、用途に応じて以下のスコープを付与します。
- crm.objects.contacts.read / コンタクトの読み取り
- crm.objects.companies.read / 会社の読み取り
- crm.objects.deals.read / 取引の読み取り
- crm.schemas.contacts.read / コンタクトのプロパティスキーマ読み取り
- crm.schemas.companies.read / 会社のプロパティスキーマ読み取り
- crm.schemas.deals.read / 取引のプロパティスキーマ読み取り
書き込みが必要な場合は、対応する .write スコープを追加します。検証フェーズでは読み取りのみでスタートすることを推奨します。
セットアップ手順
一度設定すれば、以降はターミナルで agy コマンドを実行するだけで利用できます。
HubSpotにSuper Admin権限でログイン → 設定 → 統合 → Private Apps → 「Create a private app」。前述のスコープを付与し、生成された Access Token を保管。
HubSpot Access Token: pat-na1-xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxxNode.js v20以上をインストール後、ターミナルでHubSpot CLIをグローバルインストール。
# Node.jsバージョン確認 node --version # HubSpot CLI インストール npm install -g @hubspot/cli # バージョン確認(8.2.0以上であること) hs --version
公式サイトから Antigravity CLI(agy)をダウンロード・インストール。初回起動時にブラウザで Google アカウント認証を実行(約10秒)。
# Antigravity CLI 起動(初回はブラウザ認証) agy # 認証後、対話モードに入る > /help
Antigravity CLI の MCP 設定ファイル(~/.gemini/config/mcp_config.json)に HubSpot MCP Server を登録。HubSpot CLI 経由でMCP Serverを起動する構成。
{
"mcpServers": {
"hubspot": {
"command": "hs",
"args": ["mcp", "start"],
"env": {
"HUBSPOT_ACCESS_TOKEN": "pat-na1-xxxxxxxx..."
}
}
}
}Antigravity CLI を再起動し、MCP Serverが正常に接続されているかを確認。
# Antigravity CLI 起動 agy # MCP接続状態を確認 > /mcp list # 期待される出力 hubspot - Connected (21 tools)
実際に自然言語でHubSpotデータを問い合わせて動作を確認。
> 直近1ヶ月で問い合わせフォーム送信した会社を5件、業種と従業員規模を含めて教えて
できること(機能詳細)
HubSpot公式MCP Server は、CRMのほぼ全機能にアクセスできる「フルサーフェスエリア」を提供します。21のツール(操作)が利用可能です。
利用可能な操作カテゴリ
| カテゴリ | 具体的な操作 |
|---|---|
| CRMデータ取得 | コンタクト・会社・取引・チケット・カスタムオブジェクトの検索・取得 |
| CRMデータ更新 | レコード作成・更新、プロパティ値の変更 |
| 関連付け(Associations) | 会社⇄コンタクト⇄取引の関連を辿る・作成・更新 |
| プロパティ管理 | プロパティ定義の取得・作成・更新(カスタムプロパティ含む) |
| エンゲージメント | 通話・メール・ミーティング・ノートの記録・取得 |
| ワークフロー | ワークフローの一覧・詳細取得 |
| スキーマ取得 | カスタムオブジェクトの構造確認 |
利用シナリオの具体例
◆DLした資料名:製品紹介資料、導入事例集、比較ガイド
◆BANT回答内容:予算500万円、決裁者は事業部長、6ヶ月以内の導入を想定
◆メール開封・クリック履歴:直近のニュースレター開封率80%、リンククリック3件
◆該当コンタクト:(マーケティング部長:[氏名])
セキュリティ評価
本構成は、HubSpotとGoogleが公式提供するコンポーネントを組み合わせるため、セキュリティ面での信頼性が高い構成です。
| セキュリティ観点 | 評価 |
|---|---|
| 認証方式 | HubSpot Private App(APIトークン)+ Google OAuth。両者とも標準的な業界認証方式 |
| データの所在 | HubSpotデータはHubSpot内にのみ保管。MCP Server は利用者のPC上でローカル実行 |
| Gemini学習利用 | Google AI 利用規約に基づき、業務利用のクエリはモデル学習に使われない |
| 通信暗号化 | すべての通信はTLS 1.2以上で暗号化 |
| 権限スコープ制御 | Private Appで読み取り専用・特定オブジェクト限定など細かく制御可能 |
| 監査ログ | HubSpot側:API呼び出し履歴を全件記録。Google側:管理コンソールでログ確認可 |
| APIキーの取り扱い | 環境変数で管理。Gitなどに誤コミットしない運用ルールを設定 |
| サードパーティ経由 | なし。HubSpotとGoogleの直接接続のみで、第三者サービスを経由しない |
メリット・デメリット
- フルCRMアクセス、読み書き両方対応
- カスタムプロパティ・カスタムオブジェクトに対応
- 日本語OK(プロンプトも応答も)
- HubSpot Pro版のまま利用可能(追加プラン契約不要)
- Google Workspaceの特定プラン要件なし
- サードパーティを経由しない(HubSpotとGoogleのみ)
- HubSpot公式が継続的にメンテナンスする安心感
- Antigravity CLIに将来Gemini Pro/Ultra機能が統合される予定
- 初期費用なし(HubSpot APIキー発行は無料)
- CLI(ターミナル)操作が必要で技術リテラシーを要する
- 営業全員に展開するには不向き(マーケや営業リーダー向け)
- 初期セットアップに1〜2時間を要する(導入支援者の活用可)
- 2026年6月18日の Antigravity CLI 移行で再設定が必要
- Gemini API のクォータ制限がGoogle側のプランに依存
- HubSpot側のAPI レート制限を考慮する必要がある
- UI ベースではないため、視覚的な操作にはやや慣れが必要
コスト試算
初期コスト
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| HubSpot Private App APIキー発行 | 無料(Pro版に含まれる) |
| Antigravity CLI / HubSpot CLI インストール | 無料(OSS) |
| 導入支援者による初期セットアップ支援 | コンサルティング契約等で対応可能(要相談) |
| プロンプトテンプレート整備 | 同上(テンプレートは個別組織のユースケースに依存) |
ランニングコスト(月額)
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| HubSpot 追加プラン | なし(Pro版のまま) |
| Gemini API 利用料 | 既存のGoogle One AI Pro等の契約に含まれる(利用頻度による) |
| HubSpot API レート制限 | Pro版で十分な余裕あり(1日あたり 500,000 calls) |
| 保守・運用 | 定期MTGでのアドバイスは、コンサルティング契約等で対応可能 |
段階的導入プラン
マーケリーダー1名のみが利用するスコープで、3段階で定着させます。
- Phase 1:限定検証(1ヶ月)マーケリーダー1名のみで利用。読み取り専用Private Appトークン発行。CV前後の行動サマリーなど主要ユースケースを中心に検証。週次でアクセスログとプロンプト精度をレビュー。
- Phase 2:プロンプトテンプレート整備(1ヶ月)頻繁に使う操作を「ワンライナー」化。SQLパス時のリッチ情報、休眠顧客リスト、ターゲット適合度判定などのテンプレートを準備。
- Phase 3:継続運用・改善(3ヶ月目以降)マーケリーダーによる日常活用フェーズ。利用状況と効果を半期ごとにレビュー。必要に応じて読み書き権限の段階的拡張を検討。営業担当へのアウトプットはタスク管理ツール(Asana / Slack / Teams等)経由のダイレクトパスで完結するため、MCP接続はマーケリーダーのみで継続運用。営業全員への展開は行わず、タスク管理ツール上のアラート受信のみで業務が回る設計です。
想定されるリスクと対策
| リスク | 対策 |
|---|---|
| APIキーの漏洩 | 環境変数で管理。Gitリポジトリには含めない。漏洩疑い時は即座に無効化・再発行(数分で可能) |
| 過剰な権限付与 | Phase 1は読み取り専用スコープのみ。書き込み権限は効果検証後に段階的追加 |
| 不正アクセス・誤操作 | HubSpot API ログを週次確認。書き込み操作は必ず「確認プロンプト」を挟む運用 |
| Antigravity CLI 移行(6/18) | 移行前に Antigravity CLI で再セットアップ。設定ファイル形式の変更点は導入支援者が対応支援可能 |
| HubSpot API レート制限 | Pro版で日次50万call、十分な余裕あり。万一近づいた場合はCLI側でキャッシュ活用 |
| Gemini の回答精度(ハルシネーション) | 重要な判断時は「情報源を明示せよ」とプロンプトに含める。最終的には人間が確認する運用 |
| HubSpot公式MCP Server の仕様変更 | GA版で安定運用中。仕様変更はHubSpot公式チェンジログで通知される。導入支援者の継続フォロー推奨 |
導入時のチェックリスト
組織側で事前確認すべきこと
- セキュリティ部門への提案・社内承認(別資料「セキュリティ評価ナレッジ」を活用)
- HubSpot Super Admin 権限の確認(Private App発行に必要)
- 利用環境の確認:PCのOS、Node.js のインストール可否
- Gemini 有料版の利用環境(Google One AI Pro / Workspace Gemini Alpha 等)の確認
導入支援者と連携して進めること
- Phase 1 用のプロンプトテンプレート(CV前後の行動サマリー用等)の設計
- HubSpot Private App のスコープ設計と発行手順の文書化
- Antigravity CLI セットアップガイド(利用者のPC環境に合わせて作成)
- 初回セットアップの伴走支援(1〜2時間想定)
- Phase 1 期間中の週次レビュー会の開催
導入判断のポイント
本ナレッジに基づき、Phase 1(マーケリーダー1名による限定検証)から始めることが推奨されます。セキュリティ部門への説明には「セキュリティ評価ナレッジ」を活用ください。承認後、約2週間以内に検証開始することが現実的なスケジュール感です。
